コピー用紙の裏側

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劉備のスマホケースから考えるファッションの流行色

【注意】単なる日記かと思いきや急に早口で真面目な話をし始めます

なぜ彼は劉備スマホケースを身に付けるのか

 電車で向かいに座っている会社員らしき中年男性。変わったスマホケース付けてるな、と思ってよく見ると、三國無双劉備だった。

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(真・三國無双8公式Webサイトより引用)

 ……たぶん。たぶん劉備。めっちゃ緑だったし、緑ってことは蜀だよね?(合ってる?)

 蜀でスマホケースになりそうなのって趙雲劉備関羽孔明辺りだよね。イケおじだったからたぶん劉備

 劉備スマホケースなんてあるんだって普通にびっくりしたし、どんどん身の回りのモノがシンプルデザインになっていく世の中で、あんなにデカデカと劉備が描かれたスマホケース使うんだから、よっぽど好きなんだろうなと心温まる。

 

 そもそも、ファッションの色彩は平準化される傾向にあって、その原因は①国際化と②経済成長にある(出井 2005; 92)。

 まず、①国際化に伴って各国の民族的な特徴が失われ、衣服の色彩が平準化される。次に、②先進諸国の経済成長によって物が余り、物への所有意欲が薄まる。物の所有よりも、自身の心が満たされるような生活を優先するようになり、物自体がその存在感を主張しない商品を好むようになるそうだ。

 

 ただし、90年代末から「バック・トゥー・カラー」の傾向も見られる(出井 2005; 94)。その端緒となったのがAppleの「iMac」だったそうだ。

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 今でも実家にあった水色のiMacを思い出す。スケルトンカラーのゲームボーイカラーゲームボーイアドバンスが発売されたのも90年代末〜00年代初頭だ。クッソなつい。

 

 出井は「今後もトーン・ダウンされた色を中心としたベーシックカラー主流の傾向は変わらないものと思われる」と述べていて、同論文の発表から約20年経った今を生きていると概ねその通りに見える。

 一方、出井は別の論文で「今後の少子高齢化社会を牽引するであろう団塊ジュニア世代以降の人々の間で、色や流行色の世界にも真の個性化が見られるようになるとすれば、それはバック・トゥー・カラー化がさらに進展した多様な色の世界なのかもしれない」(出井 2006; 20)と述べる。

 

 そう、個性化。劉備スマホケースは紛れもない彼の個性だった。もはや彼の制服と化したスーツ、カバン、革靴。その中で異彩を放つ劉備の猛々しいドアップ。

 良いもん見たなあ。

 

※こんな感じで学生時代ぶりにブログ書いていこうと思うんですけど大丈夫ですか?(誰に聞けばいいの?)

 

参考

出井文太,2005,「色彩と衣服−戦後における日本の衣服の色彩嗜好の変化」『日本衣服学会誌』48-2,92-95.

出井文太,2006,「30年後の流行色」『繊維学会誌』62−1,19-20.